初代スピングルムーブ SPM-101

試行錯誤から生まれた初代スピングル秘話

今あるすべてのスピングルに生きている、ファーストモデルのこだわりの誕生秘話。
Reading 試行錯誤から生まれた初代スピングル秘話 1 minute Next 新素材フェザータッチレザーを使ったビジネスシューズとは?

自社工場閉鎖の危機から生まれたスピングルブランド

ブランド『スピングルムーヴ』を製造するスピングルカンパニー、その母体は広島県府中市にある創業80年以上のゴム総合メーカー、『ニチマン』多い時には年間350万足を販売していましたが、次第に海外から輸入された靴が市場に出回りはじめ、さらに1990年代の平成不況のあおりも受けて、国内工場は閉鎖の危機に陥りました。

『なんとか、自社工場を残したい』…その一心で私たちは考えたのです。

職人気質あふれるこの府中だからこそ成せる「メイド・イン・ジャパン」の高い品質と技術力を生かせないか?
地方にある会社ではあるけれども、流行に左右されず、個性的なデザインで時代のニーズに対応して勝負できないか?

企画部担当者を中心に自社工場を残すべく、国内生産の強みを活かしたスニーカーづくりへ。『スピングルムーヴ』というブランド立ち上げの挑戦が始まりました。

体育館シューズから生まれた巻き上げソール

『スピングルムーヴ』でひときわ特徴的なのがあのソール。巻き上げソールと呼んでいます。実はこの巻き上げソール、体育館シューズからヒントを得た、ってご存知ですか?

「70年程も続く工場なんだから、何か宝が眠っているんじゃないか?」と、工場を歩いているときのこと。たまたまそこにあった40年前の体育館シューズのゴム底の型に目が留まり…
「これは、使える!」

そのアイデアはスピングルムーヴのデザインとして即採用となったのです!

ただそこから完成までも長い

体育館シューズのソールと同じデザイン!

スピングルファーストモデルへの思い

初代ファーストモデルには「”定番”となる商品をつくろう」という思いが込められています。
定番とするからには、履き心地が良く、長く履いてもシルエットの崩れないもの、そして、どこかにヨーロッパの匂いがする、少し細めのラインのきれいな大人のスニーカーにしたい!

…ファーストにかける夢は、大きく膨らみました。

何もかもが初めての開発企画。なかなか木型が思うように出来ず、木型の完成だけでも満足のいくものが仕上がるまで3ヶ月もかかりました。革靴職人に「この部分をもう少しこうして…」とアレコレ依頼すると、「そんなのできるかァッ!」と、靴が飛んできたこともありました(笑)

素材は“極々シンプル”がモットーだったので、履き込むほどに本来の革の味が出る上質なスムースレザーを使用。また、履き心地をより良くする為に途中で中敷・中底の再調整をしたり、かかと部分のデザインにも変更を加えたりと、ファーストの開発にはひと手間、ふた手間もかけました。

ついに最終サンプルが上がってきたときのエピソード。企画メンバーは、とりあえず自分の机の上にファーストを置いて、1週間、じーーーっと眺めていたそうです。日がたつにつれ、このファーストの可愛さ・魅力がじわじわと伝わってきて…

フォルムから、レザーの質感、履いたときのフィット感、こだわりのものができるまで多くの年月がかかりましたがこうして、このモデルを掲げてブランドのスタートを切る決心がついたとか。

完成はしたが、なかなか受け入れてもらえず

完成し、営業に出向いてもなかなか取り扱いをしていただけず、途方に暮れることもありました。「底の巻上げのボリュームが嫌い」と、はっきり言われたこともあります。それでも私たちはめげずにこのモデルの魅力を分かっていただけるよう営業を続け、その後、2002年に東京ビッグサイトで開催されたインターナショナル・ファッション・フェア(IFF)に出展、同年4月にTK(タケオキクチ)様のショップで販売が開始。

次第に、このボリュームのある巻上げこそがスピングルムーヴの“顔”として受け入れられていき、当初の計画通り、SPM-101は晴れて定番モデルとなったわけです!スピングルムーヴの起源であるSPM-101。このブランドが続く限り、ずっと作っていきたいモデルですね。

SPM-101にはファーストモデルの
Whiteを含め多くのカラー展開が!!

受け継がれるファーストスピングルの思い

ファーストモデルでこだわってきたものは、今あるすべてのスピングルに生きております。
フィット感は巻き上げソールもしかり、そうでないモデルも原点でのこだわりを大事にし、履き心地を追及しております。
素材もレザー以外での靴づくり挑戦し、ファーストが生まれるまでと同じような試行錯誤を繰り返し完成しております。
機械化が進み、ハイテクな商品があふれておりますが、泥臭くも手作りにこだわり、失敗を重ねながらもこれからもスピングルムーヴというブランドを誇りに思い、靴づくりを続けていきたいと思います。

スピングル初代モデル

SPM-101はスピングルムーヴの中で一番最初に誕生したモデル。
履き心地が良く、少し細めに見える綺麗なスニーカーをコンセプトに、試行錯誤を繰り返して完成しました。